2023年08月11日
こども科学博2023にて「ふしぎモクモク」として出展しました。
「ふしぎモクモク」さわってきづく!木のヒミツ~STEAM展示
今回出展したこども科学博は「生命のキセキ」をテーマに、見てさわれる展示がいっぱい。 わくわく楽しみながら体験すると、「驚き(!)」や「疑問(?)」が次々にわいてくる! 世界の「不思議」に気づくきっかけとなることを目指す、夏休みの科学の祭典です。
その中でつくるまなぶは、「ふしぎモクモク」として身近な木を、STEAM(Science科学, Technology技術, Engineering工学, Artアート/リベラルアーツ, Mathematics数学)の視点で様々なものに触れることで、どのような驚きや発見があるかな?という問いかける展示をしました。
木とともに生きる 日本の木は伐って活かすべき時代
私たちは日常的に木と接していますが、皆さんは森や木のことをどれくらい知っていますか?
日本は面積の約66%が森で、その約60%が天然林で、約40%が人工林、その約40%がスギやヒノキなどで、雨が良く降り、木が良く育つ「森の国」です。
だから、私たちの祖先は、昔から森や木と共に暮らしてきました。先人は、千年以上前に奈良の法隆寺を建立し、最古の木造建築物となっていますし、城や橋、家も木でつくってきています。
また、生活道具の、風呂や桶、器も木でつくられてきて、燃料も薪を使っていました。私達の暮らしは、木で成り立っていた「木の文化の国」でありました。
明治維新以降、人口増加と近代産業の発展に伴い、木を沢山伐採したために「はげ山」が各地で広がりました。今、見ている森の木の多くは、第2次世界大戦後に、私たちの祖父母が植えたスギやヒノキといって「人工の森」なのです。
この木々は植えられてから50年以上たち、ちょうど使い時を迎えていますが、今の便利な暮らしは、石油やプラスチックなどの化石資源が中心で、木の利用も森を守る人も減ってしまっています。
化石資源を使い過ぎ、地球温暖化に悪影響を与えているため、今、再び森や木に注目が集まっています。国連はSDGsを掲げ、日本も木を切って「使って、植えて、育てる」サイクルをつくろうと、平成17年度から、木材を利用することの意義を広め、木材利用を拡大していくための国民運動として「木づかい運動」を林野庁が展開して頑張っています。
森から受ける恩恵は、私たちにおいしい水や空気をつくるだけではなく、山の土砂崩れや洪水を防いでくれますし、森にはたくさんの動物がいて、植物が育ち、人も森に行くと元気になれます。
京都は身近に山があり、森林や木と触れ合う機会が容易ですので、ひとり一人が、そのことに気づき主体的な活動になることを願って“木とともに生きる。
木は伐って活かすべき時代!”をテーマにして、STEAM教育の視点にした新しい展示手法に取り組んでいます。
展示は「木と科学(Science)、木と技術(Technology)、木と工学(Engineering)、木と芸術(Arts)、木と数学(Mathematics)」の切口で紹介して、持続可能な時代に向けて、私たちは主体的に「木は伐って生かす時代」として、木と共に生きることを学び実践するきっかけにしたいと思っています。
今回の展示では、木を取り巻く科学的な要素、木材の性質や苗木の成長、そしてその使われ方に至るまで、多角的な視点を問いを通して考えてもらいます。
科学: 木材を実際に見て、触って、匂いをかいでみよう!木ってどんな匂いがするかな?
技術: 木は実はエネルギーとしての役割があるよ。どんな種類や燃やす方法があるかな?
工学: 京都ならではの木造住宅である町家のフシギにせまろう。どんな構造をしているかな?
アート: おもちゃや生活の品。木はあらゆるところに使われているよ。
数学: 木の年輪で何才か分かるかな?木の硬さによる音の違いあるかな?
その他にもさまざまな問いがちりばめられています。
木の素材が持つ可能性を発見
展示を通じて親しみのあるおもちゃや木に触れ合ったあと、「このおもちゃも(ジオラマに植えられている苗木のように)小さい木が育つところからはじまっているんだよ」とお子さんに説明する親子の姿もありました。
普段の生活の中では気づかない関係性や、製品や建築の背後には物を作る人がいるということに気がついたり、模型を自分で作ってみたいと写真を撮る方もいました。
今回の展示は、木の不思議な世界をSTEAMの視点から新しいキヅキを見つける展示になったのではないでしょうか。科学の驚き、技術の可能性、工学の創造性、アートの楽しさ、数学のフシギさ。このイベントが、子どもたちの好奇心と学びの楽しさにつながれば幸いです。
今後もつくるまなぶ京都町家科学館の企画にご期待ください!